山陽新聞12月23日の記事より
海外勢との競合や人口減に伴う市場縮小といった厳しい経営環境に新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちとなり地元事業所では事業の再編が加速した 。
中韓勢との価格競争が厳しい造船業界は今年コロナ禍で営業活動がストップ 。
建造量で国内8位の三井 E & S ホールディングス(東京都)は8月創業の地で中核の玉野事業所(玉野市玉)の造船部門を縮小する方針を示した。
同4位の常石造船(福山市沼隈町常石)と来年10月をめどに資本提携し商船建造を同社の海外工場などに委託する。
防衛省向けの艦艇事業も同7位の三菱重工業(東京都)に売却する方向で交渉を進めている。
三井 E & S の協力会社幹部はこれまでは不況でも2、3年我慢すれば受注量が戻ると信じられたが今回は様相が違う。
何か生き延びる策を講じないと」と危機感を示す。
倉敷市児島塩生に主力工場を持つ同11位のサノヤス造船(大阪)も11月、来年3月に同9位の新来島どっく(東京)のグループに入ると表明。
サノヤスの親会社は「価格競争が熾烈で利益が出ない体質になっている。回復の兆しがない事業をこれ以上継続するのは困難だ」と説明した。
他にもパナソニック(大阪)は10月岡山工場(岡山市東区東平島)を来年9月で閉鎖すると発表した 。半世紀近くビデオデッキやビデオカメラを量産してきたが人件費の安い海外工場などに押され競争力を保てなかった。
小売業界ではイオン系列のスーパーマックスバリュー西日本(広島市南区)が10月子会社の山陽マルナカ(岡山市南区平福)とマルナカ(高松市円座町)を来年3月に吸収合併すると発表。
金融業界では備前とひなせの両信金が2月に合併し備前日生信用金庫(備前市)伊部が発足した。
それぞれ規模を生かして業務効率化やサービス拡充を図る方針だ。
三菱自動車(東京)は希望退職の募集などで合理化に取り組む一方7月には主力の水島製作所(倉敷市水島海岸通り)で新型電気自動車の生産に向けた約80億円の設備投資を発表。環境対応車に経営資源をシフトしていく。
アフターコロナを見据えて産業構造のパラダイムシフト(大変革)が進む中、地域の事業所もまた、変化を迫られている。